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ダークウェブとは?基礎知識からアクセスの危険性、対策方法を解説

ダークウェブとは?基礎知識からアクセスの危険性、対策方法を解説

2024/10/11

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ダークウェブとは、通常の検索エンジンではアクセスできない、インターネットの隠された部分を指します。匿名性が非常に高く、専用のソフトウェアを使用しなければアクセスできないため、違法な取引や犯罪活動の温床となっていることが懸念されています。


ダークウェブとは?

ダークウェブは、通常のインターネットブラウザではアクセスできない、匿名性の高いネットワークです。Torなどの特殊なブラウザを使用してのみアクセス可能で、その匿名性から合法・違法両面での利用がされています。

主な特徴:

  • 高度な匿名性:IPアドレスの追跡が困難

  • 「.onion」ドメインの使用

  • 暗号通貨による取引

  • 違法な商品やサービスの取引場所として悪用される一方、言論の自由や内部告発の手段としても利用

ネットワーク上には、サーフェイスウェブ(一般的なウェブサイト)とディープウェブ(パスワード保護されたサイトなど)が存在します。ダークウェブは、ディープウェブの一部であり、匿名性が強化された特殊なネットワークにアクセスすることで利用されます。


ダークウェブの仕組み

ダークウェブの主な技術は、米国海軍が開発した「オニオン・ルーティング」で、データを複数の中継サーバー(ノード)を通じて送信し、匿名性を確保しています。この技術は、データが玉ねぎの層のように何重にも暗号化されるため、「オニオン・ルーティング」と呼ばれています。アクセスには主に「Tor(The Onion Router)」ブラウザが使われ、通信経路を隠すことで発信元と目的地を特定することが難しくなります。

Torの仕組み:

  1. ユーザーがTorネットワークに接続すると、ランダムに選ばれた複数のノードを経由して通信が行われます。

  2. 各ノードは、自分の前後のノードしか知らないため、通信の発信元と最終目的地を特定することが困難になります。

  3. データは各ノードで暗号化と復号化を繰り返すため、通信内容の傍受も困難です。

ダークウェブの技術:

ダークウェブのサイトは「.onion」ドメインを使用し、通常のDNSシステムでは認識されません。また、ダークウェブの匿名性を支える他の技術として「I2P(Invisible Internet Project)」があり、匿名ホスティングに特化した機能を提供しています。

ダークウェブと暗号資産:

暗号資産(仮想通貨)の普及もダークウェブの発展に寄与しており、特にビットコインはその匿名性と分散型システムにより主要な決済手段として使われています。

ダークウェブの匿名性:

ダークウェブの匿名性は、言論の自由が制限された国々での情報共有やジャーナリスト、内部告発者による機密情報の提供など、合法的な用途にも役立っています。しかし、その高い匿名性が犯罪者にとっても魅力的であり、違法取引や犯罪活動の温床にもなっています。


ランサムウェアとダークウェブ

ダークウェブは、ランサムウェア攻撃の温床として機能しています。「ランサムウェア・アズ・ア・サービス(RaaS)」と呼ばれるビジネスモデルが普及し、技術的なスキルがなくてもランサムウェア攻撃を実行できるようになりました。これにより、ダークウェブ上のランサムウェア市場は2,500%以上の成長を遂げました。攻撃者は、窃取したデータをダークウェブ上で公開し、身代金支払いを強要する「二重恐喝型」の手法を採用しています。

  • RaaSには、ランサムウェアの制作、販売、技術サポートが含まれる

  • 攻撃者は、ダークウェブの匿名性を利用して身元を隠しつつ活動

  • 企業の機密情報や個人情報が、ダークウェブ上のリークサイトで公開される脅威が増大


ダークウェブの実態と影響

以下に、ダークウェブで行われている主な取引と、実際に発生した被害事例を詳しく見ていきます。

ダークウェブ上で取引される主な商品やサービス:

  • 個人情報やログイン情報:住所、電話番号、クレジットカード番号、会員制サイトのIDとパスワードなど

  • クレジットカード情報:盗難されたカード情報や偽造クレジットカード

  • マルウェアやハッキングツール:ランサムウェア作成キット、脆弱性情報、サーバー不正アクセス手法など

  • 違法薬物や武器

  • 偽造文書:パスポート、運転免許証、学位証明書など

Torに存在するサイトの例:

  1. Dark Web Hacker

    ハッカーにハッキングを依頼できるサイト。依頼できる内容はいくつかあり、スマホの遠隔操作や、SNSアカウントのハッキングなどがあります。レンタル内容によって値段も異なります。

  1. Rent-A-Hacker

    ハッカーをレンタルできるサイト。16歳から20年以上/以下の間ハッキングとソーシャルエンジニアリングを"仕事"としてきたハッカーに、ハッキングやDDoS攻撃、スパイ行為などを依頼できます。

  1. Central Intelligence Agency(CIA)

    CIAが、個人が安全かつ匿名で情報提供を行えるようにするために開設。権威主義的な体制下や抑圧的な環境にいる人々が、アメリカにとって重要な情報を提供できるようになっています。内部告発者や情報提供者の身元を保護するためにTorネットワークを使用しています。

実際に発生した主な被害事例:

  1. 仮想通貨取引所Coincheckのハッキング事件(2018年):約580億円相当の仮想通貨NEMが盗まれ、ダークウェブ上で取引された。

  2. Facebookユーザーデータの流出(2019年):大量のユーザー個人情報やパスワードがダークウェブ上で売買された。

  3. VPN機器の脆弱性情報流出(2020年):607の日本企業や行政機関が影響を受け、ユーザー名、パスワード、IPアドレスなどの情報がダークウェブ上で公開された。

  4. 二重恐喝型ランサムウェア攻撃:企業から窃取した機密情報をダークウェブ上に公開し、身代金を要求する手法が増加している。

  5. 偽ワクチン販売詐欺:新型コロナウイルスのパンデミック時に、ダークウェブ上で偽のワクチンが高額で販売され、個人情報と金銭を詐取する事件が発生。

これらの事例から、ダークウェブが個人情報や機密データの流出先として機能し、サイバー犯罪者にとって重要な活動拠点となっていることがわかります。企業や個人は、自身の情報がダークウェブ上で取引されるリスクを常に意識し、適切なセキュリティ対策を講じる必要があります。


ダークウェブの被害に遭わないためには

ダークウェブの脅威に対抗するためには、包括的なセキュリティ対策が不可欠です。以下に、個人や組織がダークウェブのリスクを軽減するために実施すべき主要な対策を紹介します。

  1. 多層防御戦略の実施:

    セキュリティソフトやファイアウォール、侵入検知システム(IDS)、侵入防止システム(IPS)を組み合わせて防御層を強化。

  2. 強力な認証メカニズムの導入:

    多要素認証(MFA)やシングルサインオン(SSO)で、ログイン情報の悪用リスクを減少。

  3. 定期的なセキュリティ監査とペネトレーションテスト:

    定期的な脆弱性チェックとペネトレーションテストで攻撃を未然に防ぐ。

  4. データ暗号化の徹底:

    保存・転送データを暗号化して流出時の被害を最小化。

  5. ダークウェブモニタリングの導入:

    専門サービスで個人や企業情報が取引されていないか確認。

  6. 従業員教育の強化:

    フィッシング詐欺や個人情報保護について定期的に教育。

  7. インシデント対応計画の策定:

    サイバー攻撃に備えた詳細な対応計画を策定。

  8. ゼロトラストモデルの採用:

    ネットワークのすべてのアクセスを厳格に検証。

  9. ソフトウェアとシステムの定期的な更新:

    常に最新の状態に保ち、脆弱性を修正。

これらの対策を総合的に実施することで、ダークウェブに関連するセキュリティリスクを大幅に低減し、組織や個人の情報を保護することができます。ただし、サイバーセキュリティの脅威は常に進化しているため、対策も継続的に見直し、更新していく必要があります。


まとめ

ダークウェブは通常の検索エンジンでアクセスできない匿名性の高いネットワークです。特に「Tor」ブラウザを用いた匿名通信技術で構築され、違法取引やサイバー犯罪の温床となる一方、言論の自由を守る用途にも使用されます。ダークウェブでのランサムウェアや個人情報の売買が拡大しており、これに対抗するためには、多層防御、強力な認証、定期的なセキュリティ監査などの対策が不可欠です。

代表取締役

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岩城拓海

インターン

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関谷尚子

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