SIEMとは?SOCやCSIRTとの関係性
2024/12/03
SIEMは、組織のセキュリティ情報とイベントを一元管理・分析する統合ログ管理システムで、SOCやCSIRTと連携してサイバー攻撃の早期検知と対応を支援します。複数のセキュリティ機器からログを収集・分析し、脅威を可視化することで、セキュリティ運用の効率化と高度化を実現します。
SIEMとは?
SIEMは、Security Information and Event Managementの略称で、組織のセキュリティ情報とイベントを一元管理・分析するシステムです。
目的
SIEMの主な目的は、組織のセキュリティ態勢を強化し、サイバー脅威に対する迅速かつ効果的な対応を可能にすることです。SIEMは「攻撃や異常などを素早く検出し、インシデント対応を迅速化する」ことに着目していて、実害を未然に防ぐことではありません。
SIEMの目的:
脅威の早期検知:複数のソースからのログを相関分析し、潜在的な脅威をリアルタイムで特定します。
インシデント対応の効率化:検出された脅威に対して迅速な対応を可能にし、被害の最小化を図ります。
コンプライアンス対応:セキュリティポリシーや規制要件に基づいたログの収集・保管・分析を行い、法的要件を満たします。
セキュリティ運用の可視化:ダッシュボードを通じてセキュリティ状況を可視化し、意思決定を支援します。
誕生に至った背景
SIEMは、2000年代初頭のITインフラの複雑化とサイバー脅威の高度化に対応するために誕生しました。
主な理由:
ログデータの増大:従来の手動監視では、膨大なログデータから異常を検出することが困難になりました。
脅威の複雑化:単一のセキュリティ製品では、多様化するサイバー攻撃に対処できなくなりました。
リアルタイム分析の必要性:事後分析だけでなく、リアルタイムでの脅威検知が求められるようになりました。
コンプライアンス要件:企業はログデータの管理と監査を求められるようになり、効率的な方法が必要になりまし。
SIEMは、これらの課題に対応するため、ログの一元管理、自動分析、相関分析機能を提供し、セキュリティ運用の効率化とインシデント対応の迅速化を実現しました。
特徴
SIEMによって、セキュリティ状態が可視化され、セキュリティの運用を合理化することができます。
多様なソースからのデータ収集:ファイアウォール、IDS/IPS、プロキシなど、様々なIT機器からログを収集します。
リアルタイム分析:収集したデータを即時に分析し、潜んでいる脅威や異常を検出します。
相関分析:複数のデータソースを組み合わせて分析することで、単一のログでは検出困難な複雑な脅威パターンを識別します。
アラート生成:検出した脅威や異常に対して、管理者へ通知します。
CSIRT、SOC、SIEMの関係
SIEM:多様なソースからログを収集し、リアルタイムで相関分析を行い、潜在的な脅威を検出します。
SOC:SIEMが生成したアラートを24時間365日体制で監視し、分析・対応を行います。
CSIRT:SOCが検知した脅威に対して、具体的なインシデント対応や復旧を担当します。
SIEMがデータ分析を提供し、SOCが継続的な監視を行い、CSIRTがインシデント発生時の対応を担当するという役割分担により、効果的なサイバーセキュリティ運用が可能となります。
主要SIEM製品の比較
Splunk Enterprise Security: Splunk社の製品で、高度な分析機能と柔軟なカスタマイズ性に優れています。リスクベースアラート機能により、優先順位の高い脅威に集中できます。
IBM Security QRadar: IBMの製品で、AIを活用した脅威インテリジェンスと高度な相関分析機能が可能です。
Sentinel: Microsoft社が提供する製品。クラウドネイティブで、Azure環境との高い親和性が特徴。AIを活用した分析と自動化機能により、効率的な脅威検知が可能です。
Chronicle Security: Google社が提供する製品。クラウドベースのセキュリティ分析プラットフォームで、大規模データの高速分析に強みを持っています。
まとめ
SIEMは、組織のサイバーセキュリティ態勢を強化する重要なツールとして、複雑化する脅威環境に対応するための重要な存在となっています。
SIEMの主な利点は、多様なソースからのログ収集、リアルタイム分析、相関分析による高度な脅威検知能力です。これにより、組織は脅威の早期発見と迅速な対応が可能となり、セキュリティインシデントによる被害を最小限に抑えることができます。
また、SIEMはSOCやCSIRTと密接に連携することで、より効果的なセキュリティ運用を実現します。SOCがSIEMのアラートを監視・分析し、CSIRTがインシデント対応を行うという役割分担により、包括的なセキュリティ管理が可能となります。
さらに、SOAR、EDR、XDR、NDRなどの専門化されたツールとの連携により、SIEMを中心としたセキュリティエコシステムが形成されています。
SIEMの導入と適切な運用は組織のセキュリティリスクを大幅に低減し、サイバーレジリエンスを向上させる重要な施策と言えます。ただし、組織のニーズや既存のIT環境に応じて適切な製品を選択し、継続的な運用とチューニングを行うことが、SIEMの効果を最大化するために必要となります。
代表取締役
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岩城拓海
インターン
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関谷尚子
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