Nessus Webアプリケーション診断 (Nessus Expert)
2024/12/06
Nessus Webアプリケーション診断 (Nessus Expert)
Nessus Expertは、包括的な脆弱性スキャンツールです。そのWebアプリケーション診断機能を使用することで、開発者や組織はWebサイトやアプリケーションの潜在的なセキュリティの脆弱性を特定し、対処することができます。このツールは、OWASPトップ10にある幅広い脆弱性を検出し、詳細な診断結果とその対策方法を提供してくれます。
Nessus Expertとは?概要と特徴
Nessus ExpertはTenable社が開発した包括的な脆弱性スキャンソリューションで、Nessus Professionalを基盤に構築されています。80,000以上のCVEに対応し、業界最低レベルの誤検出率(スキャン100万回あたり0.32回)を誇ります 。
主な特徴:
クラウドインフラと Webアプリケーションのセキュリティ診断機能
インターネットに接続されたアタックサーフェスの可視化
クレデンシャルスキャンによる詳細な端末診断
ノンクレデンシャルスキャンによる攻撃者視点での脆弱性発見
Nessus ExpertはOWASPトップ10を含む幅広い脆弱性を検出し、詳細な診断結果と対策方法を出すことから、Webアプリケーション診断に適しています。
Webアプリ脆弱性の基礎
Webアプリケーション診断は、サイバー攻撃から組織を守るための重要な手段です。代表的な脆弱性には、SQLインジェクション、XSS、OSコマンドインジェクション、ディレクトリトラバーサルなどがあります。これらの脆弱性は、攻撃者によって悪用され、データ漏洩やシステム破壊につながる可能性があります。
日々進化するサイバー脅威に対応するためには、脆弱性診断が必要となります。専門のセキュリティエンジニアが攻撃者の視点でWebアプリケーションを調査し、入出力処理に関する脆弱性や不正なURLリダイレクトなどを診断します。定期的な脆弱性診断を実施することで、情報漏えいなどのリスクを軽減し、組織のセキュリティ態勢を強化できます。
NessusでのDocker制限
Nessus Expert のWebアプリケーションスキャン機能には、Docker関連の制限がいくつかあります。
Docker をサポートしないホストシステムでは利用できない
ARM ベースのプロセッサーを使用するホスト (AArch64 Linux ディストリビューションやApple Silicon システムなど) ではサポートされない
一度に実行できるウェブアプリケーションスキャンは1つのみ
これらの制限により、特定の環境でのNessus Expertの使用が制限される可能性があります。Dockerの詳細については、Dockerの公式ドキュメントを参照することをお勧めします。
Webアプリケーション認証設定
Webアプリケーション認証設定は、アプリケーションのセキュリティを確保するための重要な要素です。
主な設定オプション:
ログインフォーム認証: ユーザー名とパスワードを使用した標準的な認証方法
Cookie認証: セッションCookieを使用してユーザーを識別する方法
Selenium認証: 複雑なログインプロセスを自動化するためのスクリプトベースの認証
API Key認証: APIキーをヘッダーに含めてリクエストを認証する方法
Bearer認証: JWTなどのトークンを使用した認証方法
認証設定では、アクティブなセッションを確認するためのページやパターンも指定します。これにより、継続的な認証状態の検証が可能になります。適切な認証方法の選択と設定は、アプリケーションの要件とセキュリティポリシーに基づいて行う必要があります。
Webアプリケーション診断手順
Nessus Expertを使用したWebアプリケーション診断の基本的な手順は以下の通りです:
Webアプリケーションスキャン設定:
Dockerを起動させる
画面左側の「RESOURCES」にある「Web App Scanning」を選択
「Enable Web Application Scanning」のチェックボックスにチェックをする
Dockerイメージをプルすることを許可
「WAS requirements and information」の条件が満たされていたら完了
新規スキャンの作成:
Nessusダッシュボードから「New Scan」を選択し、「Web App」タブを選択し、テンプレートを選ぶ
スキャン設定:
「Name」にスキャン名を入力
「Targets」にスキャン対象のURLを指定
「Schedule」でスキャンの実行タイミングを設定
スキャンオプションの調整:
「SCOPE」や「ASSESSMENT」、「ADVANCED」タブでスキャンの詳細設定が可能
スキャンの実行:
設定完了後、「Save」をクリックしてスキャンを保存
「Launch」ボタンで診断を開始します
スキャン中はNessusが自動的にWebアプリケーションをクロールし、OWASPトップ10を含む様々な脆弱性をチェックします。診断完了後、詳細な結果レポートが生成され、発見された脆弱性とその対策方法を確認できます。
診断結果解釈と対策
Nessus Expertの診断結果は、脆弱性の重要度に応じて5段階のリスクレベルで分類されます。
レベル5(緊急): 影響が甚大または容易に攻撃可能
レベル4(重大): 影響が大きいまたは一般的な知識で攻撃可能
レベル3(高): 影響が限定的または特定の知識が必要
レベル2(中): 影響が間接的または攻撃難易度が高い
レベル1(低): 影響が軽微または攻撃実現が困難
診断結果に基づく一般的な改善策は以下になります。
脆弱性パッチの適用: 最新のセキュリティアップデートを迅速に適用する
設定の見直し: 不要なサービスの無効化やアクセス制御の強化を行う
入力値の検証強化: SQLインジェクションやXSS対策として、ユーザー入力を適切にサニタイズする
認証・認可の強化: 多要素認証の導入や最小権限の原則を適用する
定期的な診断: 継続的にセキュリティ状況をモニタリングし、新たな脆弱性に対応する
Nessus活用の留意点
Nessus Expertは強力な脆弱性スキャンツールですが、いくつかの制限事項があります。
特定の複雑な攻撃パターンの検出が困難
自動スキャンでは見逃す可能性のある論理的な脆弱性
誤検出の可能性
実務での活用時の注意点:
スキャン対象の許可を得ること
個人情報保護法などの法規制を遵守すること
本番環境へのスキャンは慎重に行うこと
効果的な利用方法:
定期的なスキャンスケジュールの設定
開発・テスト環境での事前スキャン実施
手動テストと組み合わせた包括的な診断
結果の優先順位付けと迅速な対応
Nessusは自動化された診断ツールとして有用ですが、セキュリティ専門家による解釈と対応が重要です。組織のセキュリティポリシーに沿って適切に活用することが求められます。
Nessus Expert Webアプリ診断 まとめ
Nessus Expertは、包括的な脆弱性スキャン機能と使いやすいUIにより、Webアプリケーションのセキュリティ診断に。80,000以上のCVEに対応し、誤検出率が低いという特徴は、効率的かつ信頼性の高い診断を可能にします。一方で、複雑な攻撃パターンの検出や論理的な脆弱性の発見には限界があり、専門家による手動テストとの併用が推奨されます。
継続的なセキュリティ診断の実施は、進化し続けるサイバー脅威に対する組織の防御力を維持するために不可欠です。Nessus Expertを定期的に活用し、発見された脆弱性に迅速に対応することで、Webアプリケーションのセキュリティを大幅に向上させることができます。組織のセキュリティポリシーに沿って適切に導入・運用することで、Nessus Expertは効果的なセキュリティ管理ツールとなり、ビジネスの継続性とデータ保護に貢献します。
代表取締役
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岩城拓海
インターン
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関谷尚子
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